16回 2006年9月登山
   (槍ヶ岳 3180m)

開催日: 2006年9月15日から17日
参加者: 5人
コースタイム:

上高地→横尾山荘(宿泊)→槍沢ロッジ→槍ヶ岳山荘→槍沢ロッジ→横尾山荘→上高地

体験記

KMT山の会の登りたい山のNO1だった槍ヶ岳登山に登りました。 今回の参加メンバーは山の会に初参加のJさん(一番の若手)、はるばる仙台から来てくれたHさん、毎度おなじみのウッチー、隊長、私の計5名です。 スタートは電車、バスを乗りついて上高地に入り、そこから登山開始(11:35発)です。登山と言っても初日の上高地から横尾山荘までは、きれいな清んだ梓川渓流を見ながら約4時間の平坦なハイキングでした。 上高地には有名な河童橋で記念撮影。ここからこれから登る予定の沢の先の山並みがすばらしく見えていました。途中、神秘的な池と言われていた明神池に立ち寄り、なんと入場料が300円。 見学した時間が13時頃であったこともあり、神秘的ではなく山間の静かな沼というものでした。たぶん朝もやの中で見るとそうなのかもしれません。でも水は清んでいて岩魚も泳いでいました。 明神池から横尾山荘までは、梓川の渓流の音を聞き、松林、白樺林等の森林欲を浴びながら、また水の飲めそうなほど清んだ川を楽しみながらのハイキングです。 途中、Hさんがサルだ、と叫び、注目すると自然のサルが草を食べていました。日光のサルのように人間を襲い食べものを奪うようなものではなく、自然な形でサルと触れ合うことができました。 初日はよく晴れ気持ちのいいハイキングで無事、横尾山荘に15:20に到着。早速、元気のいいJさんとウッチーは近くを散策。横尾山荘には温泉風呂があり、そこで初日の疲れをとッた後、さっぱりしてビールと夕食。 夕食後はやはり明日の天候が一番の心配事で、談話室に設置されている衛星TV放送の天気予報では何とか明日は持ちそうな感じでした。 そこでみんなの意見はできるだけ早く槍ヶ岳山荘に着き、穂先に登ってしまうということになりました。 部屋は8畳ほどの個室でしたので、全員熟睡できたようです。いつも熟睡できなかった私もよく眠れました。 翌日は朝4:40に暗闇からのヘッドライトをつけての出発でした。5時過ぎには朝日がでて雲から青空が見えてくると、今日の槍ヶ岳登頂の感動を予想してしまいました。 登山、途中、いろいろな花を見つけては写真を撮ったが、いつものことで、一つも花の名前が分からずでしたが、今までにはない花の宝庫でした。 花の写真特集はこちらをクリックしばらくは梓川と一緒に登っていきますが、途中で川がなくなり、「それはなくなったのはなく、地面の下を流れているのだよ」、Jさんがウッチーに教えていました。 後ろで私とHさんが、そうか「参考になるな!」とうなづき、後日、後で別な人に教えてやろうと思ったり。 槍沢ロッジに着き休憩すると、広場に望遠鏡が設置され、木の間から青空に浮かんだ槍ヶ岳が聳えったっていました。それを見てさらに登頂の気分を高めて早々に休憩を切り上げて、雨の降らない午前中に登頂計画を立て出発。 ここからはいよいよ勾配が急になり少し息が上がり始めてきます。森林地帯を抜けると岩だらけの道を天候の心配をしながら、青空と周りのきれいな山並みを見ながらの登山でした。 過去に登ったことのある三角形のきれいな常念岳、頂上のよく分からない蝶ヶ岳もすぐ近くに見え、遥か南の雲の上には南アルプス連峰と槍ヶ岳も見え感動を味わいました。しばらくすると待望の槍ヶ岳が見え、思わず感嘆を発しすぐにでも登りたい気持ちを抑えながら槍をバックに写真撮影。ところがしばらく槍ヶ岳を堪能させてくれた天候も急に曇り始め、そのうちにぱらぱらと雨が降り出しあわてて合羽を着用。 ヒュッテ大槍分枝付近に『幡隆』という坊さんが槍ヶ岳登山を切り開く時に5日間過ごし修行した洞穴がありました。このあと500mで槍ヶ岳山荘の看板が見えてきたところあたりから、心臓が飛び出しそうな急な登攀になってきました。雨も次第に強くなり、槍ヶ岳はもう目の前、数100mのところにあるにもかかわらず、うっすらと見えるだけとなり、急に元気もなくなってきました。それでも最後の力を振り絞って10:45に槍ヶ岳山荘に到着。 山荘に到着すると、強風と大雨になり、とても穂先にいける状態ではありません。仕方なく、談話室で槍ヶ岳のビデオを見ながら登った気分になり、雨風が落ち着くのをじっと待ち続けましたが、16時30分頃に隊長判断により、この日は登頂を断念し翌朝に期待することになりました。 しかし翌朝、期待してというか、一晩中、寝付けなかった私は期待に胸を膨らませながら、外の雨風音を聞いいていました。 一向にやむ気配がなく朝を向かえ4時に隊長が判断を下し、台風の影響が出る前に下山しようとなり、がっかり。でも全員がこの雨風ではたとえ登っても視界はゼロ、危険は100倍であると納得。 昨晩の談話で聞いた中には、北九州からきた63歳のおじさん、美味しいブランディをくれた四国から夜行バスで来た人もいて、この人たちに比べれば、数時間でこれる私たちはまだいいほうかもしれません。 なごり惜しい槍ヶ岳山荘を跡にして、途中、全員が何度も振り返り、ガスっていて見えない槍ヶ岳に向かい、「今回は登頂できなっかたけど、次回必ず登頂するから待ってろ」という気持ちで下山しました。 下山は登りに比べれば非常に楽ですが、合羽を着用しているために蒸し暑く、私はめがねが曇り、気付くとガスが取れていても私だけがガスっていてたまりませんでした。 槍沢ロッジ前で雨も完全に上がり、晴れ間も見え初めて、また周辺の山々がきれいに見えて気分もよくなってきました。横尾山荘についた時にはよく晴れていて暑いくらいでした。 これで上空、槍ヶ岳付近も晴れていたら、気分がおさまらないですが、山の上のほうは厚い雲がかかっているのみて、早めに下山して正解と自分に言い聞かせていました。 疲れた汗ばんだ体を引きづりながら上高地バス停に着いたのが12時45分。休憩も入れて7時間で下山終了。 今回の特徴はきれいな透き通った梓川を見ながら気持ちのよいハイキング、そしてサルと遭遇した自然らしさ、横尾山荘の気持ちよい温泉、各種花の咲いていた登山道、周辺の山並みを見て満喫した景色、直前にそびえたって見えた槍ヶ岳の穂先などでした。槍ヶ岳山荘到着直前の急な勾配で苦しんだビールの大好きなHさん、いつでも快調なペースで登り下山するJさん、パワーの源は大食いであるようないつもたくさん食べていたウッチー、冷静な判断により最後まで無事下山まで導いてくれた隊長でした 。前回の常念岳、燕岳から見えた槍ヶ岳とは違い、本当に目の前に見え、手の届きそうなところまで行き、登頂を断念した気持ちを来年以降の楽しみにして、今回の槍ヶ岳登山は無事終了しました。